自然と共に暮らす家

流れる空気に包まれている 住まいは 究極のありがたさ

流れる空気の住まいの最大の特徴は、全ての部屋すなわち建物内の空間の周りに空気が流れていることである。

部屋の周りとは、床面の下、壁の裏、天井の上のことである。土台・柱などの構造体のある空間なので、躯体内空間と全体を言い表している。

その躯体内空間すなわち部屋の周りを流れる空気は、決して、室内側に流れてくることはない。

室内の空気の流れと部屋の周りの空気の流れを、きちっと、区分けしている。ここが大きな特徴の一つである。

この空気の流れる家を42年追求しているが、その間、躯体内空間の空気と室内の空気を混ぜることは、厳に戒めてきた。

そうする理由の一つは、

床下の土壌や建物下部の土台や柱などの構造材は、シロアリ対策・腐れ対策として農薬による土壌処理や防腐処理がされていることが多い。

流れる空気の家であるPAC住宅は、そうした薬剤処理はしていないが、夏場は外気の涼しさを利用しているシステムである。

もし建物の周囲で、農薬や殺虫剤などが使われた場合、床下空間と室内がつながっていれば、その化学成分も床下換気口から床下空間を通じて室内に入ってきてしまう。

そうした万が一の危険性に備えて、PAC住宅は、室内空間と躯体内空間を厳しく区分けした。

床下空間など躯体内空間と室内空間をつなぐのであれば、床下換気口を設けないで、さらに、躯体内空間も完全に室内空間並みの扱いをして、健康で安全な材料で構築される必要がある。

次に、床下空間と室内を区分けする重要な理由として、

室内に、機械による人工的な風を流したくないということがある。

過敏体質の方であれば、日常よく体験されていることであろうが、人工的で不自然な風は不愉快であるばかりではなく、アレルギーの発作の原因になったり、体調が悪化してしまったりする。

ましてや、その風が床下や建材に含まれる化学物質を運んできてしまうなら尚更のことである。

エアコンなどの風は、温度と湿度をコントロールしてくれる大切な役割を果たしているが、その使い方の工夫が足らない。

エアコンの風が、直接、人体に当たるような使い方は、長時間過ごす生活空間や仕事空間では、まったく気持ちよくない、不健康な使い方である。

エアコンを使わないで、自然の風だけで暮らせばいいと言っているわけではない。

使い方の工夫がないと言っているのだ。

エアコンの風に当たって気持ちよく感じる場合があるとすれば、例えば、猛暑に外から室内に入った瞬間だけであろう。

生活や仕事の場では、その風を直接受けない、感じない使い方の工夫が必要だ。

ついでに言えば、建物の性能、主に温熱・湿度性能が悪ければ、エアコンだけではどんな使い方をしても、快適で健康な空間を得られることは困難である。


流れる空気の住まいは、この問題を厳しく追及してきた。

生活する空間の温度湿度コントロールを、直接、室内のエアコンなどですることはなるべく避ける。

室内を取り囲む面、すなわち床面・壁面・天井面を介して間接的に温度と湿度をコントロールしていく手法だ。

室内で直接的に、エアコンなどを使う場合も、なるべく人体に風が直接当たらないと所に設置する。

シーリングファン等は、自然の風に近い1/fのゆらぎを起こせるものを使うなどの工夫をしている。

本質的な観点でまとめると、

室内を取り囲む面、すなわち床面・壁面・天井面のすべてを、室内側ではなくその裏側、すなわち躯体内空間から温度と湿度をコントロールしていくことが理想的という事だ。

その躯体内空間の温度と湿度のコントロールは、自然のエネルギーで行う事が前提だか、冬場は、自然エネルギーの補完として、躯体内空間を人工的に暖める「かくれん房」というシステムも30年前から追求してきている。

いずれにしても、室内空間を直接的ではなく間接的に温熱環境を整えるシステムが、流れる空気の住まいの大きな目的の一つである。

見えない所の空気の流れに感謝!

田中慶明

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