空気が自然に浄化される住まい

 すでに第一章で述べましたように、現在の建物内空気は、建築時から、接着剤や防腐剤に含まれているさまざまな有害物質に汚染されています。住まってからも、防虫剤や殺虫剤などの家庭内農薬に悩まされています。


 蚊とり線香や殺虫剤などの家庭内農薬は、使用しなければすむのですが、残念ながら、現在の家づくりでは、室内空気を汚染する建築材料に含まれる様々な有害物質を、事前に取り除いてから建築することは困難なことなのです。


 汚染物質が、建築後いかにすみやかに抜けるかどうかがポイントですが、最近の、換気や通気性能の悪くなった建物では、簡単に抜けなくなってしまいました。


 そこで、機械換気とまた設備機器に頼ろうとする、現代人の悪い癖がでてくるのですが、建物全体に含まれた有害物質が、部分的な機械換気などで、簡単に取り除けるわけがありません。


 やはり、建物全体のトータルな換気システムで対処しなければ、解決できない問題です。PAC住宅は、夏期において、二つの風通しのテーマで述べたように、建築的手法による徹底した換気システムをもっていますから、建築後一、二年で、建築材料に含まれる有害物質は、ほとんど抜けてしまいます。


 しかし、冬期も含め、より一層の建物内空気の浄化をはかるために、つぎの工夫を加えました。まず極力、有害物質を含まない材料を選定、特に、構造材は防腐防蟻処理をしていないものを選びます。防腐防蟻処理剤は建材の有害物質の中でも、特に有害性の高いものであり長期間にわたって、その有害性が持続します。

最低限、建物の中、特に床下空間などの躯体内空間に、強力な有害物質を発生させるものは、最初から省きます。


 つぎに、その躯体空間に前のテーマでお話しした蓄熱体を設けます。その蓄熱体は、有害物質を吸着、放出できる性能もあわせ持ったものです。


 同時に、躯体内空間に面する断熱ボード表面等内壁空洞内にも、有害物質を吸着・放出できる性能をもたせます。


 さらに、床面と天井面で躯体空間と室内空間をつなげ、建物全体の大きな換気、空気循環経路を構成します。夏は、外気と連なる換気システムとなり、冬は、建物内空気循環システムになることは従来のPACと同じです。


 この建築的手法による空気浄化システムをパッシブエアクリーンと呼んでいます。これも、英語の頭文字をとればPACです。従来のPACとあわせてW-PAC と命名しました。


 このPACパッシブエアクリーンの効果をみてみましよう。夏、従来のPACパッシブエアサイクルの高換気性能プラス有害物質の吸着効果で、一層、空気浄化性能が向上しました。

さらに、従来は床下空間などの躯体内空間は防腐防蟻剤で汚染されていたため、室内空間とは連通できなかったのですが、このシステムで汚染物質が除去され、連通が可能となりました。

その結果、夜間の外冷気を蓄えた蓄熱体の涼しさが、室内にダイレクトにとりいれられるようになり、室内も躯体内空間を介して、二十四時間、自然換気がされるようになりました。


 冬は、パッシブエアクリーンの価値が一層高まります。冬は躯体内空間は外気と閉鎖され空気循環機能が働きますが、新築時には、まだ建材等の有害物質で室内空気が汚染されています。

この空気中の汚染物質を吸着し、住む人の健康を守る性能が、新築当初から発揮されます。


 しかも夏と同様に、室内の24時間換気ができます。室内は躯体内空間と連通していますから、躯体空間のどこかに、小型の熱交換タイプの換気システムを設置しておけば、安価に、熱交換型全室二十四時間換気が可能になります。


 こうしてW-PACは、室内空気の浄化ばかりでなく、夏は避暑効果の向上及び室内の24時間自然換気を実現し、冬は室内の24時間熱交換型換気などを可能としました。


 室内空気汚染は、これから一層ひどくなっていくでしょう。前章で何度もふれられているように、私たちが、ちょっと意識を緩めると、知らず知らずのうちに、家庭内農薬などで室内が汚染されてしまう時代なのですから。


 まず第一に行わなければならないことは、よく勉強をして、暮らしの中に知らない間に、危険なものを持ち込まない努力をすることです。


 食品の害にしても、家庭内農薬のような濃度の薄いガスにしても、それを食べたから、吸ったからといって、ただちに命に別状があるわけではありません。


 それだけに、見逃されがちになったり、気にされなかったりします。
 そういう意識のない生活は緩慢なる自殺行為ではないでしょうか。家族の安全は家族で考え実行する所からはじまります。W-PACは、そのお手伝いをします。

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