「土壁の家」を現代流に復活させる

「土壁の家」を現代流に復活させる 

「士壁の家」を現代流に復活させる

 昔の建物の良さを、土壁に求める人が多いと思いますが、土壁は温熱環境的に見ると、二つの大きな役割がありました。

それは、熱を蓄えることと湿気を調節することです。この蓄熱と調湿の二つの機能は、健康で快適な居住空間を得るためには欠かせないものです。しかし、合板フローリングとビニールクロスなどで代表される現代のペラペラな家では、二つとも期待できないものとなりました。

熱を蓄える材料で居住空間が構成されていると、室内の温度変動は安定的になります。
例えば、暖冷房をオンしている時とオフ時の温度変動が少ない、昼と夜の温度差が少なくなるなどですが、現代のぺラペラ住宅では、暖冷房スイッチを入れれば、すぐに効き過ぎるくらいに効く、消せば、アシと言う間に元に戻ってしまう。昼は暑過ぎる、夜は寒過ぎると極端な動きを示します。

また調湿機能のない材料でつくられている居室では、ベトベトと湿るかと思えば、カラカラと乾燥し過ぎたりと、湿気の変動も極端になります。
土壁はこの二つの機能を合わせ持つ素晴らしい材料だったのです。
ことに夏季においては、その性能をいかんなく発揮しました。
湿気の調整は当たり前として、
夜の涼しさを蓄熱容量の大きい土に蓄え、日中の暑さに備えたのです。

室内に暑い風が通っても、壁からの冷幅射で涼しく感じさせることができました・前日の夜が冷えていれば、翌日も昼過ぎくらいまでは、その冷幅射の効果は続きました。

ただ残念なことには、昔の隙間だらけの建物では、冬は極端に寒くなってしまったのです。

その寒さ対策のために、日本の家は冬向きの家になり、ついには、現在見られるさまざまな欠陥を抱えてしまったのです。

その欠陥を乗り越えるためには、小手先の技術ではなく根底から考え方を変換する、すなわち、冬の家から夏の家への大転換が必要だとこれまでも述べてきました。
もちろん、冬寒い家を指向するのではなく、夏の性能をベースに家づくりの技術を組みたて、その上に、冬も暖かくなる工夫を加えるのです。
そのための基本が、土壁の持っている二つの性能をパッシブソーラーハウスに組み込み復活させることです。 

前章で述べたパッシブ住宅は、四つのサイクルから成り立っています。

①熱を集める
②熱を分配する
③熱を蓄える
④熱を出す。

この一連のサイクルを上手に建築的手法で成り立たせるわけです。
もちろん、夏は夜の冷気など涼しい熱、冬は太陽熱などの暖かい熱が対象です。

このサイクルにより、夏は夜間の涼しさを日中にとどけ、冬は昼間の暖かさを夜にとどけることができます。その結果、建物内の夜と昼の温度差が少なくなります。

土壁の持つ蓄熱性能は、コンクリートに持たすことができます。木造住宅ですから、わざわざ室内にコンクリートを使う必要はありません。基礎や土間のコンクリートを蓄熱体として利用できるシステムにします。

熱は、夏冬とも、空気の流れで運びます。エアサーキュレーションシステムの誕生です。この自然の熱エネルギーを建物内に採り込むサイクルに、調湿機能を持たせれば、土壁のもう一つの性能を復活したことになります。

調湿性能を豊かに持つ素材は、まず自然素材です。木材、漆喰などの塗り壁がその代表です。

次に工業製品でも優れものはたくさんあります。従来からある製品ではケイカル板などですが、最近では、続々と調湿性能を大幅に向上させた商品が発売されています。

これらの中から安全でエコロジカルなものを選定し、下地や内装などに上手に利用すれば、土壁に負けない性能が期待できます。もちろん、昔ながらの土壁をこのパッシブ住宅に組み込むことも可能です。きっと最新の技術と古来の技術の見事な融合で、住まい心地の素晴らしい家ができることでしょう。

現在でも、西日本では土壁の家が数多く建てられています。しかし、昔ながらに本格的な外も内も土壁にする両面真壁の家は、コストや工期の長さ等で、さすがに少ないようです。

その代わりに、外はサイディングなどの大壁にする事例がほとんどです。ひどい場合は、室内側も土壁に漆喰仕上げ等をする真壁ではなく、石膏ボードにビニールクロスの大壁にして、土壁は荒壁のまま壁の中という危険な例も目立ちます。
土壁への郷愁が、そんなへンチクリンな工法を生んでしまったのでしょうが、土壁を空気にさらさないで、通気のない壁の中に閉じ込めてしまうことは、大変に危険なことです。かえって湿気の害を呼んでしまいます。

土壁一つをとらえても、開放的な昔の家でこそその性能をプラスの方向で発揮できたのです。
現代の通気や通風のない気密化された家に、湿気を吸ったり吐いたりできる材料をうかつに使用することは、逆効果になる場合がほとんどです。
調湿機能を持つ代表選手の炭ですら通風のない床下に置かれると、カビが生えてしまうのです。

材料だけでは健康で快適な家づくりはできません・トータルな建築的手法が必要とされます。

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