太陽とお近づき

太陽と一層お近づき、パッシブな住まい 

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

エアサイクルの住まいでも、窓から入る太陽熱を建物全体に上手に分配していましたが、


PACはエアサイクル+パッシブです。


パッシブはパッシブソーラーハウスの省略形であることは、衣替えのできる家でお話ししました。

 パッシブが付加されたのですから、より一層、太陽熱が積極的にしかも建築的手法でとれるようになったのです。窓以外に太陽の当たる場所、それは、屋根面と壁面です。 

突然ですが、手のひらの温度は何度くらいあると思いますか。体温が、およそ36.5度です。

手のひらは末端にありますから、少し下がって32、3度程度です。もちろん、人によって違いますがそんなに大差はありません。ちなみに喫煙される方は一般的に低い傾向があるそうです。血液循環にタバコも影響するのですね。

 この手のひらで、いろいろなものを触ってみてください。手のひらが32,3度程度ですから、およその検討はつきますね。子供が熱を出した時に、手のひらやおでこをあわせて、熱があるかないかチェックするのと同じ要領です。

 太陽が当たっているものは、かなりの温度になっているのに気付かれると思います。方位や時間、天気によっても当然違いますが、できれば、天気の良い時、屋根や壁など、いろいろな時間に実験してみてください。手のひらで暖かく感じられることが多いのに驚かれるかもしれません。

ピピもも

 この、屋根面と壁面にとどく太陽熱を、流れる空気に伝えて、住まいの健康性に役立たせようとしたのが、パッシブエアサイクル、PACなのです。

PACの屋根や壁は、外見は普通の家と何も変わる所はありません。
その裏側に工夫があります。
基本がエアサイクルですから、熱をとるパッシブの工夫も空気で集熱しようと考えました。

 すべての屋根面や壁面の裏面に集熱のための空気の流れる道、通気層を設けました。

 壁通気層は、壁下部で床下空間と、壁上部では小屋空間と連通しています。

 屋根通気層は、小屋空間の下部と上部でそれぞれ小屋空間に連通しています。

 簡単に、それぞれの断面をみてみましょう。壁面は、外から外壁+通気層+断熱ボード+内壁空洞+内装材の構成となります。壁は、断熱ボードをはさんで、二重の空気の流れる層があります。断熱ボードの外側は通気層で、内側は内壁空洞です。

 通気層は集熱のためにあり、下部に建物内から通気層に空気の入ってくる入口、上部に暖められた空気が建物内に入っていく出口が設けられています。

 断熱ボード内側の内壁空洞は、冬は熱分配のためにあり、内壁空洞も床下空間と小屋空間を連通しています。

 屋根面は、屋根仕上げ+通気層+断熱ボード+小屋空間となります。やはり、断熱ボードの外側に集熱のための通気層があり下部に建物内から通気層に空気の入ってくる入口、上部に暖められた空気が建物内に入っていく出口が設けられています。

 このように構成されていますので、屋根面や壁面が太陽熱で暖まりますと、その熱が通気層の空気に伝わり、暖められた空気は、通気層を上昇して上部の出口から建物内部へ入ります。

 そして、同時に、通気層下部の入口から、建物内部の空気を通気層に吸い込んで暖めるという一連のサイクルが繰り返されます。パッシブの効果です。

 建物内部にとりこまれた太陽からの暖かさは、前のテーマでお話ししましたように、躯体内空間を循環する空気にのせられて、建物全体に分配されます。エアサイクルの効果です。

 これらの効果は、建物形状や仕上げ材料、窓の種類や建築場所等で違いますので、PAC 住宅は、一棟一棟これらの条件を入力してコンピューターシミュレーションにかけ、一般の断熱住宅と比べて、その省エネルギー性能を設計段階で計算しています。35から70% 程度の省エネ率が得られています。

 通気層の空気の出入口にも、工夫があります。ここには、通気層に発生する下降気流を止めるダンパーがセットしてあります。夜間は、屋根面や壁面も冷やされますから、単なる開口だけですと、建物内に冷気が侵入して、冷たさのもたらす被害を引き起こしてしまうからです。

 もちろん、このダンパーは空気の微妙な圧力で自動開閉するものですから、入居者の手をわずらわせるものではありません。こうして、エアサイクル+パッシブ=PACが完成しました。

 この通気層は、集熱の効果ばかりでなく、その流れる空気で、屋根や壁の耐久性にも役立っています。屋根や壁その下地材の乾燥、モルタルのクラック防止などです。

 また、夏期は屋根面や壁面からの熱の侵入を、流れる空気にのせて小屋換気口から外部へ放出するなど、内壁空洞と同様に多面的な複合効果を発揮します。

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