自然と共に暮らす家

汗をかいても気持ちのいい家

最近の私たちは、汗をかく気持ち良さを忘れてしまったようです。汗をかくこと自体が、何か格好悪く、気持ち悪いことと感じている人が多いのではないでしょうか。


仕事場はともかくとして、住まいの空間までが、全室クーラーで当たり前という時代になっています。その一方で、クーラーは身体に悪いから使いたくはないのに、と思っている方もますます増えているようです。

どうやら、実態はクーラーが気持ちいいから使いたいのではなく、住空間そのものがクーラーを使わなければ、暑くて暑くて生活が不自由なくらいになってしまった、その結果、クーラーの使用が前提となり、私たちの身体もクーラーに慣れてしまった、という悪循環なのでしょう。


汗をかくさわやかさを忘れ、すぐにクーラーに頼ってしまう、不健康きわまりないことです。


しかし、どうしてクーラーがなければ生活が不自由に感じるほど住空間が暑くなってしまつたのでしょうか。


「暑きころ、わるき住居は堪へがたき事なり。」と、徒然草にあります。暑くて堪えがたい現 代の家は、まさしく悪い住居なのです。

住みやすい家になったのではなく、不快で住みにくい家になってしまった、とは現代文明の底の浅さの現われでしょう。


前項までに何度かに亘って、現代の家は日本の気候風土の特徴である湿気の多さを考慮していない、湿気に弱くなったと指摘してきましたが、このことは同時に、夏の住居が暑くなる原因でもあったのです。


湿気に弱くなった、そして、夏暑くなってしまった。これらは戦後の住宅の建築工法の変化によります。

簡単に述べれば、基礎はコンクリートでぐるりと囲まれ、壁はモルタルやサイディングで隙間漆く包まれ、その内側の空洞もグラスウールという断熱材が詰め込まれ空気の流れ はば を阻みました。

窓はアルミサッシで気密化がすすみ、床は合板フローリング、そして、壁は石膏ボードにビニールクロスと、しかも、それらで柱や梁を包み隠す大壁工法。

間取りは、中廊下で風や日射を遮る何LDK・生活スタイルも、畳干しはいわんや、窓すらたまにしか開けない、と大きく変化しました。


この一つひとつの変化の積み重ねが、建物に熱や湿気をこもらせ、住む人にとっても建物にとっても、不健康な状況をもたらせました。

もちろん、夏の住居は極めて堪えがたくなり、クーラーが必需品になってしまったわけです。


こうした悪循環から抜け出すためには、私たち一人ひとりの価値基準を見直す必要があります。自然の涼しさや汗をかくということを、じっくりと見つめ直さなければ、ますます浅薄な現代文明のえじきになってしまうだけです。

自然の涼しさ、それは言いかえれば、自然の暑さなのです。日本の気候風土においては、いくら温暖化が進んでいるといっても、自然の暑さが人命を奪ったりすることは、めったにないことですし、日常の生活においても、一夏中、熱帯夜なんてあり得ません。

ほとんどの場合、自然の暑さは、我慢できるしかも気持ちいいものでもあるのです。
我慢できない不快な暑さは、自然の暑さに人工的な要因が加わったものです。例えば、コンクリートジャングルの都心部は、地面が覆われ緑が少ない、クーラーなどの排熱と、私たちの文明生活が付加した人工の原因が、堪えられない夏をつくりだし、さらにクーラーを必要にするという最悪の悪循環なのです。

せめて個人の生活の基地である住宅くらいは、自然の暑さを愉しめるものでありたいものです。そのための住宅建築の技術を、後の項で少し掘り下げて見ていきます。

自然の暑さのもとで汗をかいて暮らせる住居こそ、環境破壊や汚染を少しでも減らせること ができ、私たちの健康を取り戻すベースになります。

汗がかけるありがたさを思い出してみましょう。


汗は、身体の中の老廃物を出してくれます。暑さを気化熱で和らげてくれます。身体をリラックスさせてくれる役割もあります。高熱で病床に伏した時、大汗のあと、目覚めたらケロッと治っていたという経験をされた方も多いと思います。


現代人は、汗腺が少なくなっていると言われています。これは大変に危険なことです。身体の持つホリスティックな調整機能が弱体化している一例でしょう。

生まれてから成人になるまでクーラーのある環境に育てば、汗腺すら退化してしまう、しかも一世代で。こんなに恐ろしいことがあるでしょうか。まだ遅くはありません。自然の暑さを恵みとして、気持ち良く汗のかける生活を愉しめる住居を志向していきましょう。


それは、自然の暑さ以上に熱をため込まない家です。堪えられないほど暑い家は、自然の暑 さプラス人工の暑さ、さらに、湿気の調整のできない材料で囲まれている家なのです。残念ながら、現代の家のほとんどが、この情けない不健康な家です。


自然の涼しさで快適な家、それは、自然の暑さで汗がさわやかにかける家なのです。

お客様の声

  1. 雪国でも吹抜け
    (新潟県新発田市.Tさん、2000年建築)2000年4月に入居し、この1年は単身赴任で東京…
  2. 感嘆の声を上げられます
    (三重県県上野市.Nさん、2000年建築)私がPAC住宅を知るきっかけとなったのは、199…
  3. 階段であいさつ
    愛知県日進市。Tさん、1999年建築)人の衣替えよりも少し早い時期、ゴールデンウイークを過…
  4. 住まんとわからん
    (東京都八王子市。Kさん、2001年建築)我が家がPAC住宅となって2年が過ぎました。頭で…
  5. 住まいの健康を手に入れて
    (熊本県熊本市.Uさん、2000年建築)二人目の子どもがお腹にいるとき(199…
PAGE TOP