日本の住宅をダメにした中廊下

日本の住宅をだめにした中廊下

 

住宅がだめになってしまった要因は数えたらきりがない。しかしこの何気なしにつくられる中廊下は、可愛そうだが犯罪者としては凶悪犯に入りそうだ。

まず、日本の住まいが持つ生活空間の融通性、可変性がなくなってしまった。どの空間も使いまわしができ、襖や障子の開け閉てで、空間は大きくも小さくも使えるというダイナミックさが失われた。

その上、自然との接点、生活のつながりすなわち家族の人間関係、そして温熱環境的にも問題が生じてきた。

では、何故中廊下を中心とした間取りがでてきたのだろう。住まいの中でも一人になれる空間がほしいという発想が、壁とドアで構成される個室という名の箱をつくり、箱と箱をつなぐ動線として、廊下が必要となってきた。

まるでホテルを思わせるような廊下に並ぶ個室のドア・ホテルの部屋の仕切りが襖や障子などでは困るだろう。ただ家族空間の中にどれほどドアで仕切らなければならないような個室が必要なのだろうか。

中廊下のない間取り

一人になれる空間がほしかったら一人で暮らしたら、と言ったら怒られそうだけど、わたしの子ども時代には家族の個室ってなかった。それは決して特別な住まいのありようではなく、ごく一般的な暮らしのスタイルであったと記憶している。

そして家族から距離がほしい、一人になりたいと思えば、一番自然だったのが結婚して家を出ると言うパターンだった。

誰々のための部屋とか、何々をするための部屋という感覚が家の中にはなかったのだと思う。

しいて言えばトイレ、風呂、客間とか応接ということだろうか。しかし客間とか応接だって普段も使っていたし、小さい頃の住まいの風呂は台所とつながっていて個室にはなってなく、家族と一緒に入るケースが多かった。そうなるとトイレだけが唯一の個室だった。

子どもの頃の思い出に話が飛んでしまったけれど、中廊下が必要とされる原因は個室にあるだけに、本当に必要な個室とは、ということを再度考えていただきたかった。

中廊下の害について言及したい。

住まいを分断することで、開口部から得られる太陽熱や光が家全体にとどけられない。そのため、昼間から照明が必要なほど暗い空間ができてしまうばかりか、中廊下をはさんで相当に大きな温度差をつくってしまうことになる。

住まいの中に温度差が生じると、血管系の病に良くないことはよく言われることで、お年寄りなどにとっては過酷な環境にもなりかねない。そしてさらなる問題は風通しが悪くなることである。ドアと壁の個室、そして廊下という家のつくりは、窓を開けても風が抜けない。それでなくとも今の住まいは気密性が高い、それだけに窓を開けた時には風がす-っと抜けてほしい。

風通しが悪ければ湿気をこもらせることとなり、湿気の害は家を腐らせるばかりか、身体の不調にもつながり、カビの発生やダニの繁殖へと連鎖し、アトピー、アレルギー、過敏症などさまざまな健康障害を呼び寄せることとなる。

太陽が隅々まで行きとどかない、風が抜けない、自然との融合の上に成り立っていた日本の住まいはどこへいってしまったのだろう、と思わざるを得ない。

中廊下のない広々とした空間

中廊下の存在は、住まいの中を分断しただけでなく、自然の恵みを遠ざけ、家族のふれ合いを希薄にし、広々使える生活空間を細切れにしてしまうという大罪をおかす結果となる。部屋と部屋を壁で仕切るから廊下が必要になるのであって、ふすまや障子で仕切るようにしておけば問題は解決しそうだ。

ドアと壁でつくる箱としての個室は本当に必要なところだけとし、できるだけ室内空間をつなげてつくる・廊下部分を居室空間にとり込めば広々した空間となり、もっと自然と仲良く暮らせる住まいができる。

家の中で一人になりたい時は、もちろんあると思う。でもそれが自分の部屋という位置付けでなければだめなのかと考えていくと、家づくり、少し見直せるような気がする。個室を個人の部屋と考えるから、いくつも個室が必要になるのであって、個室であっても共有で使うと考えればいいのではないだろうか。

いずれにしても中廊下など要らないと考えた時、そこから健康な家づくりの第一歩が始まるキッカケになりそうだ。

若林礼子 (2008.9故人となりました。)

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