パッシブ、建築的手法がキーワード 

小手先ではない本質的な家づくりをしたい。

現代社会では、なかなか叶えにくいことの一つです。何といっても、社会そのものが本質から大きく離れてしまった状態なのですから。

家をつくる、しかし、現代の私たちの多くは、もはや家はつくるものではなく、買うものになっています。展示場に行く、膨大なカタログを集める、それらの中から、気に入ったものをチョイスし、パズルのように組み合わせて家ができていく。



それが、家づくりの本質を見失わせてしまった原因です。工業製品の組み合わせで家が組みたてられていく、これを家づくりと錯覚させられている状況です。

家庭料理の豊かさは、食材を吟味し、愛情を込めてつくる、食器も手づくりとなれば、これ以上の賛沢さはないでしょう。でも、この賛沢さは必ずしもお金がかかるわけではありません。

レトルトに慣れきった現代人でも、ちょっとチャンネルを切り替えれば、今すぐにでも実現可能な賛沢さ、豊かさです。お金の問題よりは気持ちの問題です。

家づくりでも同じことが言えます。お金の問題よりは気持ちの問題ではないでしょうか、と。

展示場やカタログ収集で家づくりが進められる簡便さは、まさしくコンビニ感覚でしょう。

家庭料理の豊かさを取り戻す決め手は、まず、料理の持つ意味合いの勉強、いまさら食べることの勉強なんてと思う人ほど、将来の健康に大きな不安を抱えた人と言えます。身体そしてこころの健康までも、食事のあり方が大きく関係しているのですから。しかも、この汚染された地球環境においては、従来の栄養学の常識も通用しなくなっています。

例えば、これまでは栄養の宝庫と言われてきたレバーや卵、そういった栄養素が豊富な食材にもっとも多く、環境に蓄積された毒素が入り込んでしまうのです。

霜降りの肉、美味しいと思われる方も多いことでしょう。でも、毒素は脂肪分に多く溶け込むのです。霜降りの脂肪分が排除できますか。これらの危険な要素はすべての食材に亘っています。それらの基本的勉強が真先に必要です。幸いなことに、勉強している方にとって、安全な食材などの入手は、今ではそんなに困難なことではありません。

家づくりも同じこと。まずは勉強。しかし、住宅展示場やメーカーのカタログ収集だけでは、まだまだ困難なことです。食にしても家づくりにしても、表面的な勉強では意味をなしません。

食べることの本質は、栄養をとる、毒素を排除する、つくることや共に食べることの喜びそして片付けることにも楽しさがある等の発見にあります。

そして家づくり、その本質は、まさしくこの言葉の中にあります。

「家づくり」の「つくる」にあります。この「つくる」は、家庭料理と同じく、手づくりの意味です。


現代の家づくりは、「つくる」を、極力排除しようとするところから始まりました。


手づくりではなく、工場でつくるの意味に変えてしまいました。
まさしく、レトルトの食材です。

「パッシブ」、「建築的手法」はつくるの根源。

パッシブはパッシブソーラーハウスのパッシブ。建築的手法はまさしく家のつくり方です。

パッシブソーラーは、機械設備を使用せずに自然のエネルギーを利用する住宅です。機械設備を使わないのですから、家の建て方の工夫でするしかありません。間取りや工法、材料などの組み合わせです。それが建築的手法。

パッシブと建築的手法は同じ意味合いなのです。現代の家づくりでもっとも軽視されてしまったのが、まさしく、この根源的なことです。

それぞれの家族の生活を考慮したわけではない、統計上の机上企画プラン・日本の気候風土は無視、鉄やコンクリート、合板をメインとした工法。工場での大量生産のみを重視、生活者を軽視した建築材料。

建築的手法を重視しないばかりか、大量広告で本質をめくらます営業方法。そんな住宅が大手をふるって闊歩している情けない時代です。しかしどこまでいっても、大量生産の食材と同じく、工場生産、簡易製造の家づくりでは満たされないものが残ってしまいます。

しっかりとした満足のいく家づくりは、目先のことを小手先の技術でつじつまを合わせてしまうことではなく、間取りや工法、それを構築する材料などを根本から見直し、組みたてることから始まります。

スタートは、建築的手法、パッシブな方法の重要性を認識し、勉強することです。家づくりの迷路に迷い込まないためには、常に本質的見方からそれないように、自分自身で注意して進んでいくしかありません。


田中慶明
著書 「 やっと出会えた本物の家 」より

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