ペンギンと猫の同居する家

ペンギンと猫の同居する家 

暖かい家が欲しい。

これが長い間の日本人の願いでした。日本の伝統的な家は、暖房がまったく効きませんでした。暖房をしても部屋が暖まることはありませんでした。

 では、いつごろからストーブを持ち込んだ部屋が暖かくなる様になったのでしょうか。そんなに遠い昔ではありません。

 窓がアルミサッシになり、壁がモルタルやサイディングになった頃、そう基礎もコンクリートでぐるっとつくられる様になった時期です。

 この頃から石油ストーブが部屋にどんどんと入ってきました。部屋が暖かくなることに感激された方も多かったのではないでしょうか。

 アルミサッシ、モルタル壁、コンクリートの布基礎の導入、そして、壁の中に断熱材が入れられたことで、それまでの建物からみると、格段に隙間がなくなり、暖房が効くようになりました。大変に喜ばしいことと感じました。

 しかし、うかつにも、この事が同時に、夏は建物の中が暑くなり、湿気の害がやがて猛威をふるうようになるとは、その当時は、ほとんどの人が気づくことはありませんでした。

 その延長戦上に、今日の高断熱高気密住宅があります。

 暖房が効くようになったことで、ペンギンと猫が同居可能の家となったのです。暖房している部屋に猫、していない部屋や廊下にペンギンと。

 暖房している部屋は25度、廊下は4度その差が20度以上ということが日常的に起こるようになりました。この温度差が人と建物に、実に様々な被害をおよぼすのですが、当時は単純に部屋が暖かくなることを喜んでいました。

 現在も、ほとんどの家がペンギンと猫が一緒に暮らせる空間につくられています。このペンギンの住める場所を 「建物の中の冷たい所」 とあらためて強調したいと思います。

 冬の不健康な生活は、この温度差にあるのです。 

「建物の中の冷たい所」。これが諸悪の根元なのです。 


 ペンギンには申し訳ないのですが、この20年間、建物の中の冷たい所を解消する健康な家づくりに取りくんできました。

折り紙ペンギン



それでは
「建物の中の冷たい所」の諸悪の根元たる理由を探っていきましょう。


 冬、建物内での不健康さや害は、すべて、建物の中の冷たい所で発生します。この建物の中の冷たい所を解消できれば、おのずと健康住宅になると発想したわけです。

 〈湿気の害〉

 カビがはえる、ダニが生じてアトピーの原因となる等、湿気に関連した害は、じめじめと冷たい北側の押入で連想されるように、日光の当たらない、風通しの悪い北側など建物の冷たい所で生じる事は、どなたもご存じのことです。

 〈建物が腐る〉 

 土台や柱、屋根の構造材が知らない間に腐っていく。断熱材の施工を失敗して結露で建物が腐ったという例が新聞に載っていました。南側の土台でしょうか? 北側のでしょうか? ほとんどの場合、結露の起きやすい冷たい北側ということになります。

 〈隙間風が吹く〉

 暖房した暖かい部屋と冷たい廊下を結ぶドア。このドアを開いた瞬間、廊下から冷たい風が部屋へ流れこみます。昔の隙間風は、建具や壁のすきまから冷たい外の風が吹き込んできたのですが、今は何と、ペンギンの居住空間と猫の居住空間の、温度差による空気の対流現象という意外なことが原因となっています。

 〈脳卒中の引き金になる〉

 今でも、脳卒中や心筋梗塞などの血管系の疾患が、日本人の健康を大きく脅かしています。昔は、塩分の取りすぎが大きな原因でしたが、現在は、食生活が肉や油物中心に洋風化したことが、さらに拍車をかけています。コレステロールや中性脂肪が多く、血圧が高い人は、要注意ということになります。


 高血圧の老人が、寝ぼけ眼で、暖房の効いた暖かい部屋から冷たい廊下を通ってトイレへ、それがきっかけで、不幸が発生することが多々あります。
 よく思うことですが、もし、大昔の家のように、便所が外にあったとしたら、同じことが起きるのだろうかと。


 便所が、外にあるということは、大変に不便なことです。行くのに面倒くさいし、冬ならばすごく寒い。しかし、いいこともありました。尿意を催した時、面倒だな、朝まで我慢できるかな、外は寒いし、といろいろ頭が回転しはじめます。そして、行く決心する頃には、外は寒いぞ、気をつけようと、しっかり心構えができていますから、身体もその体勢を整えています。


したがって急激な温度差によって、脳卒中で倒れることは少なくなります。
 寝ぼけ眼で何気なく行けないところが、外の便所の良さだったのではないでしょうか。
 トイレが家の中にはいった事で、夜中に、気楽に、意識せず行けるようになったことが、現代の悲劇かもしれません。

 〈使わない部屋になって、

 もったいない〉


 これは間取りとも関連します。せっかく、部屋のたくさんある大きな家をつくっても、使われる部屋は、ごく限られてしまうのが現実の姿ではないでしょうか。
 台所それにつながる茶の間やリビングに、家族が集まる事が多く、廊下を隔てた北側の部屋などは、なかば使われない遊び部屋になっていませんか。家族数の多かった昔ならいざ知らず、家族数の激減した現在では、日の当たらない、風通しの悪い、北側の冷たい部屋が使われないのは当然のことなのでしょう。


  以上が「建物の中の冷たい所」で発生する代表的被害です。

 健康住宅のキーワードは、
「建物の中の冷たい所をなくす。」ことです。

 「建物の中」ですから、室内空間ばかりでなく、当然、床下空間や内壁空洞などの居住空間以外のすべての空間も対象となります。 そして、「冷たい所をなくす。」ということは、暖めるということではありません。寒くも暑くもない中間体の温度にすると言うことです。より具体的な方法は、「パッシブな暖房、見えない所から暖める」に譲ります。


田中慶明
書籍 「夫婦の生活実感でつくる家」の一文です。

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